営業日を減らしたい町の本屋。別の人と曜日を分けて開けられますか

町の本屋を毎日開けるのが難しくなった。しかし、閉店はまだ決めたくない。別の人と曜日を分けて営業する方法は考えられます。

先に決めたいのは、棚に立つ人ではありません。本を売る事業者は誰か、ということです。ここが曖昧だと、売上、返品、取寄せ、顧客への連絡の責任も曖昧になります。

店番を頼むのか、二つの本屋が同居するのか

現在の本屋が仕入れと販売を続け、別の人に接客やレジを任せるなら、事業者は一つです。売上は現在の本屋に入り、取引先との契約も原則として現在の本屋に残ります。

この場合は、任せる仕事、判断できる範囲、報酬、事故や欠勤時の連絡方法を決めます。雇用と業務委託のどちらに当たるかは、契約の名称だけでなく、指示の出し方や働き方の実態によって判断が変わるため、迷う場合は社会保険労務士や弁護士などへ確認します。

一方、別の人が自分で本を仕入れ、自分の屋号と会計で販売するなら、同じ場所で二つの事業を営む形です。曜日を分けても、棚、レジ、鍵、看板、光熱費の扱いは書面にしておきます。

「売上は後で分ける」だけでは足りません。まず、一件ごとに誰が売り手になるのかを決めます。

棚の本は、所有者と取引条件で分ける

棚には、現在の店が仕入れた本、取引条件により返品できる本、地域の作り手から預かった冊子、予約客のために取り置いた本が混在していることがあります。

区分 確認すること
現在の店が仕入れた本 販売できる人、売上の帰属、在庫記録
新しい運営者が持ち込む本 使用する棚、会計方法、売れ残りの搬出
委託で預かった冊子や雑貨 委託元との条件、販売報告、破損時の連絡
取寄せ・取り置き商品 注文を受けた事業者、入金状況、引渡し担当、保管期限
傷みのある本 所有者、販売や返品の可否、取引先への確認

棚を共用するときは、棚札や管理番号で所有者を確認できるようにし、在庫表にも同じ情報を残します。色分けだけでは、札が外れたときに確認できません。

出版物の返品条件は取引ごとに異なります。また、書籍や雑誌には著作物再販制度の対象となるものがあります。別の運営者が自由に返品したり価格を変えたりできるとは限りません。取引条件を確認し、不明な場合は取次、出版社、委託元へ尋ねます。制度の概要は、公正取引委員会の案内でも確認できます。

レジと取寄せは、曜日だけで分けない

一つのレジやキャッシュレス決済端末を二つの事業で使うと、売り手が分からなくなることがあります。レシートに表示される事業者、現金の保管場所、決済手数料、返金の担当を確認します。

決済端末やPOSの契約名義が現在の店主であれば、別の事業者が同じアカウントを使えるとは限りません。共用できるかは、サービス提供会社へ事前に確認します。

営業後は、現金、キャッシュレス売上、販売した本、取寄せの受付を事業者ごとに照合します。二つの事業として営業するなら、それぞれが自分の取引を記帳できる状態にしておきます。記帳の一般的な扱いは、国税庁の案内で確認できます。実際の売上や共通経費の分け方は、取引の流れを税理士へ見せて相談します。

取寄せは、注文日と引渡日が別になる仕事です。現在の店主が受けた注文品を別の運営者が渡すなら、入荷連絡、代金の受領、受渡しの記録、未引取り時の連絡を誰が担うか決めます。

共同営業を始める前に、未完了の注文だけは一覧にします。商品、注文日、入荷状況、支払いの有無、連絡方法、担当事業者が分かれば十分です。

顧客情報は、棚や鍵と同じようには共有できない

取寄せ客の氏名や連絡先、会員名簿、購入履歴を、別の事業者が当然に利用できるわけではありません。個人データを第三者へ提供する場合は、原則として本人の同意が必要です。共同利用とする場合にも、共同利用するデータの項目、利用者の範囲、利用目的、管理責任者などを、あらかじめ本人へ通知するか、容易に知り得る状態に置く必要があります。

詳しい要件は、個人情報保護委員会のガイドラインで確認できます。既存の利用目的や運営の形によって扱いが変わるため、情報を渡す前に専門家へ確認します。

候補者と話し合うだけの段階では、顧客名を見せる必要はありません。未完了の取寄せ件数や、連絡が必要になる曜日など、個人を特定しない情報から共有します。

鍵を渡す前に、店舗の契約を確認する

別の人が一人で店を開けるなら、鍵、警備、空調、荷物の受取り、閉店確認も任せることになります。渡した鍵の本数、複製の可否、紛失時の連絡、終了時の返却を記録します。

賃貸店舗では、別の事業者に継続して場所を使わせることが、契約上の転貸などに当たる可能性があります。民法第612条では、賃借権の譲渡や転貸には原則として賃貸人の承諾が必要とされています。実際の扱いは契約と利用方法によるため、営業を告知する前に貸主へ確認します。

火災、盗難、来店者の事故、商品の破損について、別の運営者の営業中も保険の対象になるかは、保険会社や代理店へ確認します。

休業日に一度だけ通してみる

条件が決まったら、休業日に開店から閉店までの動きを確かめます。本を販売する、取寄せを受ける、入荷品を渡す、宅配便を受け取る。やってみると、誰が判断するか決まっていない仕事が見つかります。

試行営業をする場合も、その日の売り手と問い合わせ先を店頭やレシートで明らかにします。終了後に在庫、売上、注文、鍵を照合し、続けるか、条件を直すかを二人で決めます。

曜日を分ける目的は、ただ店を開けておくことではありません。現在の店主が残したい選書や地域との関係と、新しい運営者が担える仕事を、無理なくつなぐことです。

まだ相手も形も決まっていないなら、「何曜日を休みたいか」「棚の本は誰のものか」「未完了の取寄せはいくつあるか」から書き出せます。匿名相談や事業のストーリー投稿を利用する場合も、店名や顧客名を伏せ、いま決められずにいる境目から伝えると状況を整理しやすくなります。

ブックマーク パーマリンク.

コメントは受け付けていません。